自然資源部がこのほど2025年海洋生態保護・修復優良事例を公表し、全国から15の優良事例が選出された。青島藍谷の海洋生態保護・修復プロジェクトがその一つに選ばれた。
青島藍谷は青島市即墨区の黄海西岸に位置し、43.9キロメートルの海岸線を有している。1980年代以降、青島藍谷における海洋開発の手法は比較的荒いので沿岸海域は河川から流入する汚染物質や養殖排水によって汚染された。その結果、海岸帯の生態機能は退化し、防災・減災能力が低下し、海洋生物多様性が減少し、砂浜資源は侵食され、住民の海とのふれあい空間も不足するなど、生態保護と民生改善の両面で深刻な課題に直面していた。2019年以降、青島藍谷は中央政府の財政資金による海洋生態保護・修復プロジェクトを基盤とし、系統的な生態整備・修復事業を実施した。住民の海とのふれあい空間を改善するとともに、「多規画融合-陸と海の統合-島と海の相互補完-人と海の調和」を実現する生態修復モデルを確立し、青島市における海洋生態保護の模範事例として注目を集めている。
長年にわたり、「青島市国土空間生態修復計画(2021~2035)」「青島藍色硅谷中核地区総体計画(2013~2030年)」「青島藍谷自然海岸線修復及び鰲山湾総合整備計画(2016~2020年)」など一連の高水準な計画を科学的に策定・実施することで青島藍谷は受動的な対処から積極的な修復へ、部分的な整備から体系的な保全へという画期的な転換を成し遂げた。具体的な取り組みとして青島藍谷は陸と海を統合し、汚染源から処理することを堅持し、高山河など4つの河川河口部の整備・清掃や、自然海岸線を占拠し海水汚染を引き起こしていた約89ヘクタールの違法養殖施設の撤去などを通じ、海岸線の自然地形の回復と生態系機能の再生を着実に推進している。さらに、青島藍谷では「海岸線+島」の一体的生態修復を実施し、島に護岸を建設することで沿岸地域の防災・減災能力の向上を図っている。また、海浜広場、ビーチパーク、展望橋、緑地公園、公共施設などを設置し、生態保全と景観設計の有機的統合を実現し、「緑豊かな海岸線・美しい海湾・秀麗な島と岩礁・都市と海の共生」という理想的な生態景観の創出に成功している。
2019年に生態修復プロジェクトが実施以来、青島藍谷沿岸海域の生態環境は持続的に改善している。Ⅰ類海水水質区域が拡大を続け、沿岸海域の水質優良率は100%を維持している。小管島周辺海域ではプランクトンの種が105種から176種に急増するなど、海洋生物多様性が顕著に向上している。同時に海洋観光業も急速に発展し、2024年の観光客数は延べ1100万人を突破し、2018年比で約150万人増加した。観光収入は140億元(1元は約19.92円)に達し、2018年比で約8.6%増加した。地域の生態環境と公共サービスの全面的な向上に伴い、青島藍谷には数多くの海洋関連優良産業や研究機関が集積した。過去三年間で誘致・契約したプロジェクトの総投資額は1000億元を超え、経済社会の発展と生態環境保護が相互に調和し、相互に促進する素晴らしい事例となっている。